立山連峰とコハクチョウ
立山連峰をバックに飛翔するコハクチョウを撮りに出かけました。
昨シーズンの冬に滋賀の湖北町で撮影した雪山背景に飛ぶコハクチョウの写真をBlogにアップした際に、本当に撮りたいのは立山連峰背景のコハクチョウだと書きました。立山連峰、とりわけ、剱岳をバックに飛翔するコハクチョウは10数年前からずっと撮りたいと思い続けてきたシチュエーションです。
しかし、撮影候補地となるフィールドまでは自宅から片道350キロ近くあり、冬の日本海側特有の天候から天気予報では晴れの予報でも、いざ現地に赴くと立山連峰に雲がかかったり霞んだりして見えないという恐れが多分にあります。そのリスクの大きさから、これまでずっと二の足を踏んできていましたが、なんとか念願のシーンを撮りたいと思い、この冬はいろいろな情報を加味したうえで立山連峰がすっきりと見渡せる確率が高いと判断できる日が訪れるのをじっと待っていました。
立山連峰がすっきりと見渡せても、雪山背景にコハクチョウが飛んでくれなければ意味がありません。コハクチョウは2月中旬頃から徐々に北帰し始めるので、その頃であると雪山が逆光にならない日中の時間帯に飛ぶ可能性も高くなるのではと考え、2月中旬以降で北帰が完全に終わってしまうまでの期間を狙ってチャンスの日を伺い、出かけてきました。
立山連峰を背景にコハクチョウの飛翔が狙えそうなフィールド情報は10数年前にも随分と調査しましたが、その頃と今ではコハクチョウの塒も餌場も様変わりしているので、10数年前の調査は今では役に立ちません。そのため、改めて時間をかけてフィールド情報の事前調査を行い、好天が予想される日の前日から現地入りして複数の塒と複数の餌場をロケハンし、そのなかから最も撮影に向きそうな餌場を選んで撮影に臨みました。
撮影本番当日は予想以上の快晴で明け方は立山連峰がシルエットになっていて、日の出後も朝の早い時間は逆光で山肌が白っぽくなって綺麗に見えない時間が続きましたが、ある程度太陽が回り込んできてからは期待した通りに立山連峰が綺麗に見渡せました。
目の前の餌場には朝の早い時間から数十羽のコハクチョウが採餌に来ていましたが、より東側の別の餌場と目の前の餌場とを日中に行き来しているグループがいくつかあり、それらのグループが目の前の餌場に降り立つ前に剱岳や立山を背景に飛んでくれる事が何度かあり、念願だった撮影がようやく実現しました。
撮影行が実現したのが2月末ということもあり、既に北帰した個体もかなりの数がいて、コハクチョウの数はピーク時よりもかなり少なくなっていましたが、完全に北帰が完了する前に何とか間に合って本当によかったです。
剱岳。剱山頂部とコハクチョウがうまいタイミングで重なりました。
剱岳と剱岳北方稜線上の通称、大窓・小窓・三ノ窓。
いにしえから針山地獄と称された剱岳のごつごつとした岩肌の山容は独特の雰囲気があります。そこを飛翔するコハクチョウの浮遊感も独特です。
この雰囲気は琵琶湖の湖北のコハクチョウの飛翔では絶対に得られない雰囲気です。
餌場に降り立つために旋回してこちらに向かってくるシーン。
剱岳北方稜線上の通称「大窓」を通過するタイミングで。「窓」とは稜線が切れ込んだ部分を指す富山県独特の表現です。
山岳用語で「キレット」と呼ばれるのと同じ意味です。
立山(雄山、大汝山、富士ノ折立)背景に飛翔。
室堂平のホテル立山も写っています。
餌場の田圃とその向こうに見える剱岳。餌場の田圃に近づきすぎると、飛翔時に電柱・電線が入りやすくなるので餌場の田圃からかなり距離を置いた場所から撮影しています。
今回の撮影では現地に赴いてこそ知ることができるいろいろな事を学べたように思います。その知識を生かして、来季以降また是非出向いてみたいと思います。
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