AF confirm chip付ケンコー テレプラス for Nikon 1
Nikon1 に専用アダプタのFT1をつけた場合、CPU付レンズではマニュアルフォーカス時にフォーカスエイドが使えますが、非CPUレンズではピント位置の拡大表示はできるもののフォーカスエイドは作動しません。このため、BORGなどの天体鏡筒を使った場合はフォーカスエイドの恩恵にはあずかれません。
非CPUレンズをCPU化するためのチップの存在は以前から知っていたのですが、このチップを用いれば天体鏡筒やAi-Sなどの非CPUレンズでフォーカスエイドが使えるようになるだろうと思っていたところ、鳥撮りのお仲間が先に導入されていました。その動作報告でひとつ、予想していなかった副産物がありましたが、それはフォーカスエイドが作動するだけではなく、フォーカスモードをAF-Sにしてシャッター半押しでピント合せをすると、合焦時に合焦サインとしてフォーカス枠の白枠が緑色に点灯し、同時に合焦音が鳴るというものでした。これは実際の撮影ではフォーカスエイド以上に役に立つかもしれません(CPUレンズを使ったMFモードでのFT1のフォーカスエイドでは合焦マークがついても合焦音は鳴りませんし、AFモーター非内臓のCPUレンズではAF-Sモードは選択できませんので上記のようなことができるのはこのダミーチップを用いた場合に限定されます)。
と言うわけで早速AF confirm chipをとりあえず1個国内入手し、使わなくなっていた古いケンコーの1.5倍テレプラスに埋め込んでみました。
このテレコンは古いといってもマニュアルフォーカス専用テレコンではないので、マスターレンズに信号を送るための電子チップはもともと搭載されています。そこで、もともと搭載されているチップを取り去って、空いたスペースに入手したAF confirm chipを埋め込みました。所定の位置にほぼぴったり収まり、両面テープで固定して動かないようにしてあります。埋め込んだチップはFT1のレンズ側電子接点と信号のやり取りをするだけで、マスターレンズ側と信号のやり取りをするわけではないのでテレコンに搭載のフレキシブルケーブル等に通電するように細工する必要は全くなく、単に所定の位置にチップを埋め込むだけです。
こうやって改造したテレプラスをFT1に取り付けてV1の電源を入れると、V1はテレコンをCPU付レンズと認識し、FT1の内部の絞り連動レバーがぐにゅっと上に移動します。このままだと、テレコン側の絞り連動レバーも持ち上げられ、それに伴ってマスターレンズ側の絞り連動レバーも持ち上げられて常に強制開放絞り状態となるので、マスターレンズ側の絞り環で絞りを調整できるようにテレコンの絞り連動レバーの突起部分をニッパーでちょん切りました。
FT1→改造したテレプラス→適当なAi-Sレンズとつなげて、AF-Sモードでシャッター半押しのままピント合せをすると、合焦した時点でピッと合焦音が鳴ります。AF-Sモードでは合焦しないとシャッターが切れないので、ピントが合っていない状態で予めシャッターを全押しし(ピントが合っていないので全押ししていてもシャッターが勝手に切れてしまうことはない)、全押しを保持したままピントリングを回してゆくと合焦した瞬間にシャッターが切れます。これはマニュアルフォーカスでのピント合せにはかなり直感的に使えると思います。比較的大きな飛翔する鳥などの場合、AF-Sモードでシャッターを全押ししながら鳥を追いかけ、ピントリングを回してゆくと合焦と同時にシャッターが切れるのでFT1を使った普通のAF撮影よりもかえって飛翔撮影時の歩留まりは上がるような気がします。
今回改造したテレプラスのレンズは簡単に内部のレンズだけ取り外してしまうことができるので、レンズを取り外すとBORGなどの天体鏡筒ではAF confirm アダプタとして使えます。天体鏡筒でのピント合わせはもともと光路長を合焦装置で変化させてピントを合わせる仕組みなのでテレコンのレンズを取り去ってもテレコンの厚み分フランジバックが狂うことを気にする必要がありません。もちろんテレコンのレンズを元の状態に取り付けたままで使えば文字どうりテレコンとしても機能しますが、焦点距離が伸びすぎるし合成F値も大きくなるので天体鏡筒で使う場合はレンズを取り外すことを想定しています。
今回は古いテレプラスにチップを埋め込みましたが、要はFT1のレンズ側電子接点とチップとがうまく交信できればそれでよいので、天体鏡筒とFT1とをつなぐリングに工夫して直接チップを搭載すればBORGなどをCPUレンズと簡単に認識させることができ、KOWAのプロミナー500などでもマウント部分にチップを工夫して搭載させることで同じ効果を得ることができるはずです。
なお、AF confirm chipはプログラマブルな仕様でデフォルトでは45mmの焦点距離情報とF2.8の開放F値情報が書き込まれていますが、これは書き換えることが可能で、AFモードでの合焦判定も微調整が可能な仕様となっています。
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コメント
情報ありがとうございました。
Nikon1で、フォーカスエイドが効けば、BORGで撮影してみたいです。
早速同じ事をやってみたいと思います。
投稿: kazutako | 2012年4月19日 (木) 12時52分
kazutakoさん、こんにちは。
Borgでではないですが、私が持っているVixenのFL70Sで改造テレプラスからレンズを抜いた状態で試してみたところ、フォーカスエイドもAF-Sモードでの合焦音もどちらも問題なく作動しました。FL70Sは焦点距離560mmで口径70mmなのでF値はF8になります。
Borgのニコン用カメラマウント[5003]に直接チップを取り付けるのは結構難しいと思いますがNikon1をBorgでしか使わない場合にはFT1のレンズ側電子接点に直接チップを取り付けてしまうのが一番手っ取り早いです。FT1に直接チップを取り付ける場合、チップのピンが押し込まれるように取り付けないと軽く接触しているだけでは反応がなくなることがあります。粘着力の弱い両面テープだとピンに押し戻されてチップが横ずれしてくると途中で反応しなくなることがあるので強力な両面テープで取り付ける必要があります。
チップはプログラマブルと書きましたが、プログラムを起動させるにはマニュアル露出モードでシャッタースピードを1秒,5秒,1秒の順にシャッターを切る必要があります。FT1を取り付けたNikon1は1秒を超えるスローシャッターは使えない制約があるのでNikon1からプログラムを起動することができません。従って、お使いのBorgの焦点距離等に合わせて焦点距離情報等の書き換えをしておきたい場合はFT1にチップを直付する前に通常のニコンのデジ一を使って書き換えしておく必要があります。デフォルトのままの焦点距離情報、開放F値情報のまま使っても、特に露出面で不都合はないので私は今のところ初期設定のまま使っていますが。
AF-Sモードでの動作ですが、シャッターボタンを半押ししたままピント調整すると合焦した時点でAF枠が緑色点灯して合焦音が鳴りますが、この状態で本来のAFでいうとAFロックされた状態になります。一度合焦音が鳴ってからシャッターボタンを半押し保持したまま更にピント操作をしてピントをわざと外してもAF枠は緑に点灯したままで、再合焦させても合焦音はもう一度鳴ることはありません。従って、ピント合せの操作を荒っぽくやると合焦音が鳴ったのにピント位置を通り過ぎてしまうということがありうるので、慎重にピント操作する必要があります。もっとも、その場合は再度シャッターボタンを半押ししなおせばいいですが。
ご検討を祈ります。
投稿: 探検隊隊長 | 2012年4月19日 (木) 14時44分
探検隊隊長様
詳しい説明をありがとうございます。
当方も、同じテレコンを持ってます。
ちょっと型式が違って、、、。
N-AF D 1.5× と間にDが付いてますが、、。
昨日、バラしてみると、ピンを外した場所になんとなく収まるのかな?と思っています。
レンズも簡単に外すことが出来ましたので、早速CPUチップそ手に入れて実験してみようと思います。
Nikon1+BORGでマニュアルフォーカスでピントを合わせて撮影してみましたが、拡大表示があまり使い物にならないので、せめてフォーカスエイドが動けばな~って思っていた所でしたので、、、。
頑張ってやってみます。
ありがとうございました。
投稿: kazutako | 2012年4月19日 (木) 17時15分
kazutakoさん
Dの付いたのは家に2倍のがなぜか転がってました。接点が埋め込まれている部分の形状を見るとDの付いてない1.5倍とは少し違うようですが、埋め込みはそんなに難しくはなさそうに感じました。
私はただ今マクロテレプラス(ニコンマウント用)を調達中です。玉抜きすれば合焦装置(ヘリコイド)として使えるので一石二鳥かなと。接点がもともと付いていないのでチップの取り付けにはやや工夫が要りそうですが。
投稿: 探検隊隊長 | 2012年4月20日 (金) 18時19分
探検隊隊長様
入手できましたので、早速付けてみました。
私のDの付いたテレコンにも何の改造も必要なくバッチリ付きました。
さっそくBORG71FL(400mm F5.6)で試してみましたが、Nikon1 V1が合焦と判断する範囲が少し広い感じです。
ピンポイントで合焦して欲しいのですが、ちょっと微妙です。(AF-Sモード、MFモード共)
Nikonのデジ1でCPUの設定をして焦点距離もセットしてみましたが、変りませんでした。
私のNikon1の問題かもしれません、、。
もう少し試してみます。
とりあえず、使えることは確認できましたので、、、。
ありがとうございました~。
投稿: kazutako | 2012年4月25日 (水) 09時35分
kazutakoさん、こんにちは。
合焦の判定が甘いというのは私も同様に感じましたのでkazutakoさんのNikon1固有の問題ではないと思います。
プログラムではピント位置の微調整もできるようですが、合焦判定位置自体をずらしただけでは判定範囲が広いという問題の解決にはならないですね。ただ、デフォルトよりも前ピン、後ピンどちらかにずらすことで、実用面において改善させることができるかもしれません。
例えば、幅のある合焦判定範囲の一番遠い位置が目標とする被写体の距離になるようにやや前ピンに調整した場合、ピント合せに際する合焦装置の操作を無限遠側から近距離側へ移動するように操作すれば最初に合焦を感知した点がバチピンの位置ということになるような気がします。
投稿: 探検隊隊長 | 2012年4月25日 (水) 11時46分
探検隊隊長様
更なる情報ありがとうございます。
やはり、同じような傾向でしたか、、。
、、ということは、探検隊隊長様の前ピンか後ピン策が現実的でしょうね。
Nikon1+FT-1での超望遠は結構難しいですね~。
私は、AF-S VR 70-200 F2.8に純正1.7倍テレコンを使ってましたが、前ピンで、しかも解像度が納得できませんでした。
今は、テレコン無し、540mm相当でシャッターはエレクトリックHiでやっと満足できる絵が撮れてますが、それでも、ピンが甘い奴が割りと多いです。
まあ、BORG自体はPENTAX K-5との相性が良いので満足はしてますが、、、。
超望遠目指したNikon1がちょっと惜しいですね。
次の休みにでも、ピン位置をずらして試してみます。
なんども、ご教示頂き、ありがとうございました。
投稿: kazutako | 2012年4月25日 (水) 13時57分