待たれるFT1
Nikon 1が発売になってから今週末でほぼ一月になりますが、肝心のマウントアダプターFT1の詳細仕様が公表されないですね。FT1は12月発売予定とされていますが、一部の量販店での表記では2012年1月発売予定とされているところもあり、下手をすれば来年にずれ込む可能性もあります。
FT1の仕様については私はある程度の予測はしていますが、その構造は結構凝ったつくりになっているように思います。最近の最新情報ではAi仕様の非CPUレンズで絞り優先オートが使えるということが判明しましたが、これはいろいろなことを推測する重要な手がかりにもなります。
そんななか、トミーテックの中川さんがニコン1用のマウントアダプターの量産宣言をされましたが、私的にはちょっとばかし勇み足ではないかなと思っています。現在試作されているアダプターはAEが全く使えない完全マニュアル露出となるようですが、果たしてニコン1にBORGをはじめとする天体鏡筒をつないだとき、本当にAEは実現不可能なのでしょうか。
私はAEを実現できる可能性が大いに残っていると思っています。その重要な手がかりも、先述したAi仕様の非CPUレンズで絞り優先オートが使えるところに隠れています。非CPUレンズにはそもそも電子接点がありません。従って、アダプター経由でAEが使えるのかどうかは電子接点経由の電気信号的な仕組みに依存するのではなく、もっと物理的な構造に依存するのです。そのうえで、現在WEB上で見れるFT1の写真をじっくりと眺めてみると解決の糸口が見えてきます。
もったいぶった言い方になりましたが、FT1の写真をじっくり眺めると、正面から見て左斜め下(金属マウントの外側部分)に突起があることがわかります。これは果たしてなんなんのかを予測してみましょう。ニコンのFマウント、ニコンの歴代のカメラにある程度詳しい人ならおおよその予測がつくんじゃないかと思います。おそらくこれは「最小絞り設定警告レバー」だと思われます。
この最小絞り設定警告レバーはカメラボディ側に露出計連動レバーが設けられているカメラには存在しません。D70やD90などのような機種にはカメラボディ側に露出計連動レバーは設けられておらず、最小絞り設定警告レバーが設けられています。ニコン1のボディ側マウントには露出計連動レバーも最小絞り警告レバーもマウント部の写真を仔細に見る限り存在しないようです。おそらくFT1を装着したときのみ最小絞り設定警告レバーが登場するということなのでしょう。
この最小絞り設定警告レバーはレンズの絞り環で絞りを最小絞りにした時、レンズについている「最小絞り設定警告用ガイド」に押し下げられる仕組みとなっており、このガイドによって最小絞り設定警告レバーが押し下げられないとAEではエラーとなり完全マニュアル露出以外ではシャッターが切れないことになります。
裏を返せばこの最小絞り設定警告レバーを無理やり押し下げてやるとレンズ非装着時に完全マニュアル露出にしないと警告エラーとなってシャッターが切れないという現象は回避できると予想されます。FT1の実機自体がまだリリースされていないので、あくまでも予想ですが、その予想が根拠のあるものか、ないものかは上記に記載したことを読んでご判断ください。
トミーテックが試作したマウントアダプターはCXマウントにそのまま取り付けるアダプターなので上記のエラーを回避できる可能性は全くありません。アダプターの開発はCXマウントへの直結アダプターではなくFT1経由のアダプターを開発すべきで、FT1の実機リリースを待ち、その構造をじっくりと研究した上で開発に取り組むべきです。中川さん、見てますか? 本当にこのまま量産に踏み切りますか?
私はトミーテック社の社員でもなければBORG製品の開発担当者でもないわけですが、中川さんには125SDをモニター使用させていただいた恩義があるのです。CXマウント直結のアダプターでは製品開発に失敗する可能性が極めて高いことを認識しているのに、それを見て見ぬふりはできません。今回の記事は「待たれるFT1」とのごく一般的なタイトルをつけていますが、その中身は完全に中川さん宛の記事なのでした。
(11月16日追記)
どうやらもう量産に入ってしまわれたようなので、上記の記事は時既に遅しに失したみたいです。ま、ME専用と割り切ってお使いになる需要はあるかと思いますが。因みに、今回はAE化だけに焦点を絞った文章になりましたが、エラーを回避してAE化した場合には、同時にMFアシストも有効になると思います。
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