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2011年9月22日 (木)

Nikon 1(V1)仕様あれこれ

昨日発表されたばかりで実機もないですが、取説をながめて確認した仕様についてつらつらと思いつくまま書きます。最近のニコンは製品発表と同時に発売前から使用説明書がPDFでダウンロードできるのがいいですね。発売前の購入検討に大変役に立ちます。

(全般)
Nikon 1は総じて言うとCoolpix以上、一眼以下という感じは否めません。仕様を細かに見てゆけばゆくほどそう感じます。コンデジのCoolpixに比べると設定項目等は比べ物にならないくらい豊富ですが、普通に一眼を使っていると省略されている部分が非常に多く、使い勝手において相当に差が感じられると思います。

(操作性)
Nikon 1の特徴のひとつに、いろんな機能の設定を背面の‘ロータリーマルチセレクター’に集約させているということが挙げられますが、このため、操作性はかなりめんどう、使いづらい、と言うことになるかと思います。

(電子シャッターでの高速連写モード)
Nikon 1V1にはシャッターモードとして‘メカニカル’、‘エレクトロニック’、‘エレクトロニック(Hi)’の3つのモードがあります。メカニカルはフォーカルプレーンによる機械式シャッターで他の二つのモードが電子シャッター。メカニカルもしくはエレクトロニックでは最高5コマ/秒の連写で、高速連写モードであるエレクトロニック(Hi)にしたときに10コマ/秒、30コマ/秒、60コマ/秒の高速連写が可能となります。60コマ/秒でもフル画素での撮影ができることはかなり画期的です。
エレクトロニック(Hi)モードでの落とし穴は、フォーカスモードが大きく制限されるということではないかと思います。10コマ/秒の場合、フォーカスモードはAF-Aモードに制限されます。30コマ/秒もしくは60コマ/秒の場合、フォーカスモードはAF-Sに制限されます。AF-AモードもAF-Sモードもフォーカスポイントでフォーカスが合っているときしかシャッターが切れない仕様です。ニコンの普通の一眼だと、たとえばAF-Sモードであってもユーザーがフォーカス優先、レリーズ優先を選択でき、レリーズ優先の設定にしておくとたとえフォーカスポイントで合焦していなくともシャッターを切ることができますが、Nikon 1にはこのフォーカス優先、レリーズ優先の設定メニューが用意されていないため、フォーカスポイントで合焦しない限りシャッターは切れない仕様です。注意すべきはエレクトロニック(Hi)モードではフォーカスモードとしてMFも使えないという点です。そもそもNikon 1ではMFモードでのピント合せはピントリングを回してという方法ではなく、先述したロータリーマルチセレクターをぐりぐり回してピント合わせする仕様になっているので、高速連写モードでロータリーマルチセレクターを回しながらピント合わせなんて非現実的なことは最初から想定しなかったのでしょう。
ただ、12月に発売される予定のマウントアダプターFT1をつなげば、普通のFマウントレンズが使えるわけで、その場合でもレンズのピントリングを回してピント合わせしながら、高速連写モードで撮影することができないというのはきわめて残念というほかありません。FT1はまだ取説もダウンロードできないため、その詳細仕様が不明ですが、もしかしたらFT1装着時はエレクトロニック(Hi)モードはそもそも使えない可能性もあるんじゃないかと思います。純正マウントアダプターではなくサードパーティ製のマウントアダプターを介して他社性レンズや天体鏡筒で使うことを想定される人もいるかと思いますが、その場合でも高速連写モードではフォーカスモードとしてAF-AもしくはAF-Sモード以外は使えないので高速連写でのMF撮影はできないということになりそうです。

※取説を読む限り、レンズ非装着時にレリーズ可とする設定がどこにもないので、サードパーティ製のマウントアダプター経由ではそもそもレリーズ不可となりそうです。

(レリーズケーブルの可能性)
Nikon 1にはオプションで電子レリーズケーブルが用意されていないことは昨日書いたとおりですが、今後用意される可能性はあるのでしょうか。Nikon 1のインターフェイスを見るとUSBポートは備えてますがD7000などで使われる電子レリーズケーブルを差すためのアクセサリーポートはありません。その代わり、外部フラッシュやGPSユニットを接続するためのマルチアクセサリーポートが用意されています。このポートには外部フラッシュのほかにGPSユニットもつながります。可能性としては、このマルチアクセサリーポートへの接続仕様の電子レリーズケーブルが将来発売されてもおかしくはない気がします。ただ、このポートがもともとシャッター基盤と電気的につながっていなければどうしようもありません。
ニコンの古い機種でD70には当初、電子レリーズケーブルを接続するポートがありませんでしたが、その後、ニコンが電子レリーズケーブル接続ポートの増設改造サービスを有償で提供していたことがありましたので、ユーザーの声が多ければ、このような有償改造サービスでの対応という可能性もあるかもしれません。

(過去撮り機能)
Nikon 1には本格的な過去撮り機能は搭載されていないようです。‘スマートフォトセレクターモード’というのがあって、シャッター半押し中は最大で90秒過去に遡って画像を取り込み続ける仕様にはなっていますが、シャッター全押しした際にメモリーに取り込まれるのはカメラが自動で判別したベストショットと、ベストショット以外のベストショット候補4枚の合計5枚だけという仕様であり、カシオのパスト連写機能のような本格的な過去撮り機能が備わっているわけではないです。

(FT1の仕様)
Fマウントレンズを使えるようにするマウントアダプターFT1を使えばAF撮影も可能となりますが、AFが可能なのはレンズ内にモーターを内臓しているレンズのみで、AFカップリング方式のレンズではAF撮影はできません。この仕様はD40などでAF撮影できるレンズの仕様と同じですね。ニコンのレンズ郡でAFカップリング方式ではなくモーター内臓のレンズ郡としてはAF-SとAF-Iのレンズがあり、AF-Sの方は超音波モーターでAF-Iに比べて駆動速度が速く静かという特徴があります。一部のサイトでFT1経由でAFが使えるのはAF-Sレンズのみと書かれているものがありますがD40などでもAF-IレンズはAFが使えますのでAF合焦速度がAF-Sレンズに比べて遅いということはあるにしてもAF-IレンズはFT1経由でAF撮影可能と思います。

※ニコンのUKサイトにAF-SとAF-Iレンズでオートフォーカス可能とはっきり明記されていました。

(電子シャッターでの露光方式の疑問)
Nikon 1の電子シャッターはグローバル露光ではないだろうと昨日書いたのですが、この点についてはまだ半信半疑です。J1の方はそもそもフォーカルプレーン方式による機械式シャッターが搭載されておらず、電子シャッターのみしか使えないですが、電子シャッターのみのCMOSセンサーでローリング露光による歪みへの配慮をしないまま、動画や高速連写を売り物にするカメラをニコンが本気で製品化するのだろうかという疑問があります。もうひとつはニコンのNikon 1の製品サイト内に掲載されている女性が棍棒を投げているシーンのサンプルイメージで(「製品特徴」→「パフォーマンス」のページにあるイメージサンプルです)、10fpsの高速連写モードで撮影されていますが低速シャッターから来るぶれによる残像と思われる歪みは見られるものの、いわゆるローリング露光の電子シャッター特有の歪みが出ているようには感じなかった点です。もしかして、グローバル露光もしくはそれに近い技術が密かに盛り込まれているのではないかとかんぐってしまいます。

仕様についていろいろ書きましたが、結論として、このカメラはFT1にAF-Sヨンニッパつなげば換算1080mm/F2.8で最高5コマ/秒までの連写がAFで可能(通常連写である限りフォーカスモードの制限も一切なし)ということだけでも‘買い’ではないかと思ってます。純正テレコンの2倍ぐらいする値段のテレコン買うと思えばいいわけです。

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