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2011年9月 9日 (金)

カシオHIGH SPEED EXILIM改造直焦点とPENTAX Q直焦点の決定的違い

今日はプチ機材ネタをひとつ。カシオのFC100の改造ネタ記事をこのブログに掲載してからもうかなりの年月が経過しますが、相変わらずこの機材ネタにはアクセスが多数あります。電子シャッターだけで高速連写ができるカシオのHIGH SPEED EXILIMを改造して直焦点で撮影したいと思う方がまだまだ結構いらっしゃるようです。
先日発売されたPENTAX Qは改造しなくてもマウントアダプタ経由で電子シャッターによる超望遠撮影ができるわけですが、カシオのHIGH SPEED EXILIMの直焦点改造では画質に大きくかかわる注意点がひとつあります。
それはなにかというと、ずばり、光軸なんです。FC100やFC150なんかを改造、あるいは分解したことがある人はわかると思いますが、筐体の中に収納されているセンサーユニットは筐体のどこにも固定されていません。中で結構ぐらぐらと動くわけですね。
直焦点改造したときは、普通のカメラレンズ等が取り付けられるようにマウントを増殖するのですが、マウントは筐体の前面パネルに取り付け固定します。筐体の前面パネルと筐体に収納されているセンサーユニットの位置関係は固定ではなく、筐体前面パネルに対して、センサーの光軸の垂直は全く保障されていません。レンズユニットとセンサーユニットは正しく光軸が合うように固定されているわけで、このレンズユニット+センサーユニットが筐体内で一体としてぐらぐら動いたとしてもレンズから入る光はセンサーに対していつも一定の角度でセンサーに届くのだから筐体との位置関係が変わっても全くノープロブレムというのがもともとの設計思想であり、レンズユニットを取り外して筐体前面パネルにマウント増殖というような改造が施されることはメーカーの想定外です。
改造した直焦点機では筐体の前面パネルにマウントを直付けし、もともとあったレンズユニットは全部取り外してしまうので、マウントを介して取り付けたカメラ用レンズとセンサーとの光軸は正確に一致しているはずがないわけです。仮に偶然一致したとしても、ちょっとした拍子に筐体内部でセンサーユニットの位置が少し変われば光軸は簡単にずれることになります。
フィールドスコープを用いたデジスコでの超望遠撮影でも、僅かな光軸の狂いが画質に大きく影響するのは今や常識ですが、このことは改造した直焦点機でも当然そのまま当てはまるわけです。
改造したFC100やFC150で、AFレンズを取り替えたりなどして画質の向上に試行錯誤をしておられる方も結構いらっしゃいますが、レンズ交換による画質や解像感への影響よりも光軸がちょっとしたことで動いてしまうことによる影響の方が遥かに大きいということになります。比較的短い焦点距離での撮影では光軸の狂いはさほど気にならないかもしれませんが、超望遠撮影で撮影済み画像を等倍などに拡大して重箱の隅をつっつくような解像感の検証をすれば、AFレンズ等を交換したことによる解像感の変化などはレンズ交換の度に筐体を開腹しセンサーユニットを引っ張り出して、また収納しなおす、という作業をしたことによる光軸変化による解像感の変化の中に埋没してしまいます。

PENTAX Qはもともとレンズ交換式のカメラとして製造されているものですから筐体前面のマウント面とセンサーとの垂直は当然厳密に設計されています。筐体内部でセンサーユニットの位置が動いてマウント面との位置関係がその都度変わるといったようなことはあり得ません。この点の違いはほぼ同じサイズのセンサーを利用した直焦点撮影であっても画質面で大きな違いとなって現れることは容易に想像できると思います。

因みに、カシオのHIGH SPEED EXILIMを直焦点改造機としてではなく、デジスコでのコリメート撮影用に使う場合でも上に書いたことと全く同じ問題が起こります。デジスコでのコリメート撮影で使う場合には筐体の前面パネルにアダプタを取り付けるための加工をすればそれで足りますが、筐体前面パネルとセンサーユニット+レンズユニットの位置関係については垂直は全く保障の外ですのでアダプターを取り付けても、そのアダプターの光軸とレンズユニットのレンズの光軸とは一致する保障がないことになります。

以上、プチ機材ネタでした。ニコンのミラーレスの仕様早く知りたいな。

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