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2011年2月18日 (金)

デジスコの将来性は?

最近あまり機材のことを話題にはしていませんが、本日は久しぶりに機材のことについて正面から書いてみます。私は決して機材マニアではありません。そのことを最初にお断りしておきます。あくまでも機材は表現のための道具にすぎませんのでどんな機材であれ適材適所に使い分けてゆくべきものというのが一貫した私の考えです。

さて、何故今に至って表題のようなタイトルの記事を書こうとしたのか。私はここ1~2年の間にデジスコに大きな転換期が来ると思っています。地上望遠鏡(フィールドスコープ)を使ったコンパクトデジカメによるコリメート撮影にはいろいろなメリットがありますが、そのメリットの源となるのは一眼デジカメに比べてずっと小さな撮像素子とミラーがないこと、フォーカルプレーンシャッターがないことにより、ミラーショック、シャッターショックから完全に解放されるという2点につきるといっても過言ではありません。
一方で、地上望遠鏡を用いたコリメート撮影では正立像を導くためにプリズムが介在することにより対物レンズ本来の光学性能が少なからずスポイルされるというデメリットがあります。またプリズム以降にも撮像素子までの間に接眼レンズ(アイピース)とコンパクトデジカメにもともと搭載のレンズが介在することになり、光学的には複雑な構造になり、光学性能のロスも大きくなります。

かつて私はコンパクトデジタルカメラに搭載するレンズユニットを除去して撮像素子をむき出しとし、天体望遠鏡や一眼用のレンズに装着して使えるように改造を行いましたが、このいわゆる直焦点改造機は少なくとも光学的な観点ではデジスコよりも遥かに優れていました。また、改造対象となるのがデジスコなどで一般に使われているのと同じ撮像素子の小さなコンパクトデジカメであるため、35ミリ換算倍率でデジスコに全く引けをとらない焦点距離を得られ、しかも合成F値という観点ではデジスコ以上の明るさを得られるというメリットがありました。しかし、直焦点改造可能なコンパクトデジカメというのは種類がごく限定されたものでしかなく、改造という敷居の高さもあって一部の人しか手を出しにくいものでした。

ミラーレス構造のマイクロフォーサーズ機の登場によってミラーショックから解放された直焦点撮影は極身近なものとなりましたが、マイクロフォーサーズでも35ミリ換算倍率は2倍にとどまり、デジスコでの超望遠撮影には焦点距離的には及ばない上に、依然としてフォーカルプレーンシャッターによるシャッターショックからは解放されていないため、ベテランデジスコユーザからは“やっぱりデジスコが一番”との声が依然として根強く残っているのが現状です(私は何が一番などというのはナンセンスで、冒頭に書いたように適材適所で道具を使い分けるのがよいと思っていますが)。

そんな中、今後もっとも動向に注目すべきはコンパクトデジカメのような比較的小さな撮像素子を持ったレンズ交換式ミラーレス機の登場です。既にケンコーやペンタックスがこの分野の新機種を出すとの情報が流れており、ニコンのミラーレス機もマイクロフォーサーズよりも更に小さな撮像素子を採用するとの噂が流れています。ここで最もポイントとなるのがシャッター方式です。コンパクトデジカメは多くの場合、電子シャッターとメカシャッターとの組み合わせでメカシャッターに関してはレンズユニットに組み込まれたレンズシャッターを用いています。レンズ交換式のコンパクトミラーレスとなるとレンズシャッター方式というのはほぼ可能性がなくなります。パナソニックのGH2では事前に期待されたグローバルシャッターの採用は見送られてしまいましたが(GH2にグローバルシャッターが採用されていたらデジスコからの移行組みがかなり出ていたと思います)、コンパクトデジカメクラスの撮像素子を持ったレンズ交換式ミラーレス機となるとフォーカルプレーンシャッターということも考えにくいと思われますので、各社新たな方式でのシャッター構成を提示してくるものと予想されます。シャッターショックからもミラーショックからも完全に解放されたコンパクトデジカメクラスの撮像素子を持ったレンズ交換式のカメラが実際に登場するとデジスコの持つ優位性を全て兼ね備えながら、デジスコの持つデメリット部分は残さない直焦点撮影が可能となります。シャッター方式如何という前提条件つきではありますが、状況によってはコリメート撮影の終焉という大きな流れをつくる可能性があるだけに、私は非常に注目しているところです。

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SANYO MZ3直焦点改造機+サンニッパで撮影したオオマシコ。35ミリ換算焦点距離1440mm/F2,8。たった200万画素のカメラであるがプリズムやアイピース、本来搭載されていたレンズユニットの極小レンズを一切介さないためサンニッパの光学性能がそのままストレートに反映される。MZ3は電子シャッターのみでシャッターが切れるのでレンズユニットを除去してもシャッター構成として全く問題なく、シャッターショックももちろん皆無。デジタル処理技術については極めて設計の古いMZ3においてすらこれだけの画質が得られるのであるから、その後著しく進化した小型撮像素子のコンデジを用いた直焦点撮影が身近に実現すればデジスコのコリメート撮影では全く太刀打ちできないのではないかと思われる。

(理想のスペック)

ケンコーのミラーレスは1/2.3インチクラスの撮像素子を搭載したCマウント仕様と噂されているが、シャッター方式がどうなるかについては全くの未知数。ペンタックスも同クラスの撮像素子(同一物?)との情報だが、1/2.3インチクラスは流石に小さすぎる。ケンコーやペンタックスが他メーカーに先んじて新カテゴリーの機種を発売したとしても、真っ先にそれに飛びつくつもりはないが、新しい流れをつくるという意味では大きな意義がある。因みにCマウントに関しては現状でもC→F(ニコンFマウント)変換アダプタは普通に存在しているので、このカテゴリの機種が発売されれば発売と同時に換算約5倍強の超望遠システムが無加工で実現する。

ニコンに関しては今のところ1インチクラスという情報が有力だが、ニコンはかつてCoolpix 5000等に代表される2/3インチの撮像素子搭載機種を多数出していた。最近は2/3インチの撮像素子よりも少しだけ小さい1/1.7インチ程度の撮像素子を搭載したコンパクトデジカメを出すメーカーが増えてきている。撮像素子と画素数のバランスという点からは2/3インチクラスの大きさの撮像素子で1000万画素程度の画素数というのが理想的だと思われる。2/3インチの大きさの撮像素子だと35ミリ換算で約3.9倍の換算率となる。アダプタを介して200mmのレンズを取り付けた場合780mmの焦点距離が得られる。500mmのレンズだと約2000mm弱にまでなる。

シャッターショックレスと高速シャッターを同時に実現できるグローバルシャッターに関しては既に一部の分野では実用化されているのでコンパクトクラスのレンズ交換式ミラーレス機にグローバルシャッターが採用される可能性はかなり高い。

ファイダーに関しては高精細EVFは不可欠。デジスコのコリメート撮影ではAFが圧倒的主流だがスコープでのピント合わせとコンデジでのAF合焦という2段構えの動作となる。この2段構えの動作が時としてかえってピントを狂わせる原因となることがままある。AFはもちろん使えるに越したことはないが本当に正確ですばやいピント合焦にはMFがどれだけ使いやすいかこそが鍵となる。

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コメント

隊長さん、こんにちは。
なるほど・・・。私はデジスコ未体験ですが、拝読し、将来的な刺激と面白味を感じました。
たしかに、その節はツボを突いてますね! これから高精度のAFも研究されていくでしょうし、ミラーレス&素子シャッターという流れは、非常に強く出てきそうです。
さらに素子AFが進化していけば・・・。
NやCレベルの動体追従AFを実現できれば、とてつもないステージの幕開けですね。
当然、次には動画の流れも。放送業界まで巻き込んで大変革ですよ、これ。

私なら、ノイズにもよりますが、ミラーレスで2/3インチ、1400〜1600万画素なら、200m離れたフクロウ撮りとかに使ってみたいです。ブラインドなしの小鳥などでも面白そうですね。朝イチ限定のノビタキとか。お日様が昇れば、陽炎で役立たずでしょうから。
1000万画素では紙まで考えた時に二の足を踏みます。A4見開きならいけてもA3は厳しいでしょう。タブロイド紙とかなら平気でしょうが。

投稿: Kankan | 2011年2月21日 (月) 16時45分

Kankanさん、こんにちは。ここに書いたことはデジスコを想定し、デジスコに変わるものという観点で書いています。
ミラーショック、シャッターショックから解放された超望遠システムは一つのカテゴリーとして十分に仕事にも使いうると思いますが、一方で小さな撮像素子の限界もあります。階調表現能力に関してはやはり一般のデジ一の方が遥かにすぐれています。このことは将来も変わらないでしょう。

コンデジは一時期高解像化の一途をたどっていましたが最近は逆の傾向もでてきました。画素密度を穏当に押さえた画質優先の高級志向機が最近は数多くでています。2/3インチクラスで1600万画素前後という機種はなかなか出てこない気がしますね。
GH2は思ったほどもノイズ耐性が向上していなかったようですが、GH2は1600万画素ありますからノイズ耐性がもっとよくなってシャッターがグローバルシャッター化されればKankanさんの仕事でも十分に使える機種になるはずです。

200m離れたフクロウですか。一番の難敵はやはり空気でしょうね。過去ログには200m超離れたシマアオジをMZ3と天体望遠鏡との直焦点で撮影した画像がありますが、やはり空気の揺らぎだけはどんな機材でも対応できませんね。

投稿: 探険隊隊長 | 2011年2月21日 (月) 18時25分

隊長さん、はじめまして。Lanachichiと申します。
ブログ大変興味深く拝見させていただいてます。

というのも、つい最近になりまして、コンデジEX-FC150を隊長さんのブログを見ながら直焦点改造いたしました。

最近噂のコンデジの動向も気になりますし、もうそろそろ買い替え時かと思っていた矢先に、新たな使い方を見出して、お陰様で楽しく使っています。

またお邪魔に来ます。どうぞ宜しくお願いいたします。

投稿: Lanachichi | 2011年2月26日 (土) 03時06分

Lanachichiさん、こんにちは。
そうですか、FC150はFC100とは違って絞り優先オートにも対応ということになっていますので改造したときの露出の安定性はいいでしょうね。
ご存知かとは思いますがEX-F1用の電子レリーズケーブルがFC150でも使えます。裏面照射型センサーになっても、それほどノイズ耐性は大きく進化していないので、電子レリーズケーブルか使えるのはとても大きいです。カシオは動作保証はしていませんが。
作例、またいろいろ見せてください。

投稿: 探検隊隊長 | 2011年2月26日 (土) 07時57分

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