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2008年8月 1日 (金)

落ちたアオバズク

人物の写っている写真のブログへの掲載は肖像権の関係から基本的に載せないのですが、今回は例外です。なぜなら、写っている被写体が他ならぬ私自身なのですから。掲載の写真は昨日、地元のアオバズクの雛が木から落ちたのを救出したときの写真で一緒にいたお知り合いが撮影したものです。

昨日早朝5時前、神社に到着すると巣立ったアオバズクの雛3羽と親鳥2羽が元気に境内を飛び回っていました。一時はさえぎるもののない木の太い幹に親子5羽が一列に横並びするシーンもありました。雛も元気に飛び回り、木から木へと自由に飛び移っていました。
しばらく観察していると雛の一羽が楠の葉につかまってコウモリのように宙ずりになりました。雛が宙ずりになることはこの場所でも過去に見ていますし、他の営巣地でも比較的よくあることで、自力で飛べるようになっている場合はあまり心配する必要もありません。
ところが、今回はどうも様子がおかしかったのです。宙ずりになったまま羽ばたくものの、足が細い枝の分かれた部分に引っかかってはずれない様子です。羽をばたつかせてもがくもののどうしても足が枝からはずれません。雛鳥が宙ずりになっているところは地上から10数メートルあり、助けてやりたくとも手が出せません。雛の異常に気づいた親鳥が雛から50センチくらいのところにとまって心配そうに見ていますが親鳥にもどうすることもできません。
午前5時を回り、いつもなら神社の宮司さんが境内の朝の掃除のために出てこられるので木の剪定用の高ばしごでも借りられるかと思っていたのですが、この日に限っていつもの時間になっても出てこられません(あとでわかったことですが、この日はお出かけで神社の掃除も朝のラジオ体操もありませんでした)。

随分と長い時間枝に足を絡ませて宙ずり状態でもがいていた雛鳥の足が突然枝からはずれ、別の木へと飛び移ってゆきました。安心したのもつかの間。飛び移った木でもしっかりした木の幹ではなく不安定な葉の部分にとまろうとしたために再び体勢を崩し、またまた枝に引っかかって宙ずりになってしまいました。先ほどの場所よりは低い位置ですが、それでもはしごがなければ救出できない高さです。
二回目に枝に絡んだときは比較的短時間で足が枝からはずれました。枝から足がはずれて、雛鳥は斜め下に地面の方向に向かって飛んでゆきました。そのあとを親鳥が間髪をいれず追いかけました。雛鳥が飛んだ方向に行くと、神社の本堂横に張られた有刺鉄線のある金網に雛が引っかかっていました。地上から約50センチのところです。羽が有刺鉄線に引っかかり、足は金網に引っかかって体勢が完全に横向きになっています。雛を追いかけた親鳥は木に戻って近くにいません。
この体勢から雛鳥が自力で脱出できる可能性は全くなさそうだったので、人の手で救出してあげるしかありません。境内には野良猫も来るので放置すると猫にやられる可能性が極めて高くなります。
知り合いの手袋を借りて雛を金網からはずしてやり、地面に張り出した楠の根の上にそっと立たせてみます。最初は少し怯えている様子でしたが雛の足と羽の様子を確認する必要があるので至近距離からじっくりと足と羽の状態を確認します。きょとんとした目で雛もこちらを見つめます。
どうやら足にも羽にも怪我はないようでとりあえず一安心です。ただ、このままでは猫にやられますので高いところに戻してやる必要があります。この神社では過去にも何度かアオバズクの雛の落鳥があり、そのたびにバーダーの協力で安全な高さの所まで戻しています。今回も境内にあった竹ざおに雛をとまらせて木に戻す作戦にでます。掲載の写真を撮影してくれた一緒にいた仲間が竹ざおを雛の前に持ってゆきつかまるのを促して、なんとか竹ざおに雛がとまってくれましたが、木に戻そうとしたときに自力で飛んで民家の軒先の屋根にとまりました。
民家と民家の間で目に付きにくい場所で日中はここで休息させ、落鳥により消耗した体力を回復させて夕刻の活動時間を迎えさせたほうがむしろ安全だと判断し、屋根にとまった状態でそもまま置くこととしました。あとから何名かのカメラマンがアオバズクの撮影のためにやってきましたが、屋根の上の雛のことはもちろん教えません。

夕刻近くの時間。朝のアオバズクの雛が気になって、仕事を早めに切り上げ、神社に立ち寄りました。屋根の上に雛の姿はありません。今朝の事故のことを報告していた知り合いが先に駆けつけていましたが、話を聞くと日中に近所の子供が屋根の上の雛に折れた木の枝を投げるいたずらをして、驚いた雛が神社の境内とは反対側の方向に飛んでいってしまってそれから行方がわからないとのことでした。
このあと私を含む3人でアオバズクの夜の活動が始まる時間まで3羽の雛全部の確認の努力をしましたが、飛び回るようになった時間にはすっかり暗くて同時に3羽を確認することができませんでした。

今朝午前4時に目覚ましを合わせ、落ちた雛が無事家族と合流できているか確認に行くつもりでしたが、ここ三日間ほど連続で3時台起きをしていたせいか不覚にも寝過ごしてしまいました。7時前に知り合いが行っていないか電話してみたところ現地とつながり、今朝、親子合わせて5羽が一緒にいるところを無事確認したとの報告を受けました。

今回は、巣立った雛鳥が細い枝に足を絡ませて身動きできなくなってから落鳥するまでの一部始終を目の当たりにしましたが、巣立ったといっても雛は親鳥に比べてまだまだ未熟です。雛が落鳥する原因にはいろいろなケースがありますが、朝行ったら既に落ちていたということの方が多く、落鳥の原因を特定できるケースというのは比較的少ないと思います。何はともあれ、怪我もなく、無事に家族と合流してくれてとにかく安心しました。

怪我はないかな~Img_6384_3jpg

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コメント

こんにちは
ちょっとどんくさい幼鳥ちゃんでしたね。
体力回復するまでの日中は気が気じゃなかったのでは?!
「これからは気をつけておっきくなるよ。ここでの思い出はわすれないよ!」そんな目をしていますね。

投稿: でつ | 2008年8月 1日 (金) 11時39分

ひと夏の良い思い出になりましたね。写真もすでに想い出色ですし(^^

それにしても親子5羽が並んだ様子って見てみたいものです。

投稿: ぱわすて | 2008年8月 1日 (金) 13時18分

かわいらしい雛の写真に思わずほほえんでしまいました。おそらく当人(雛)にとっては、それどころではない状況とは思いますが(笑)。
 

投稿: 図書新人59 | 2008年8月 1日 (金) 15時23分

でつさん、こんにちは。
どんくさいというか、雛は多分みなこんなもんなんでしょうね。親鳥なら仮に足が絡んでもうまく抜ける方向に飛んで外す術を経験しているし、そうするのに必要な飛行力も十分ありますからね。“まだ未熟”ということにつきますね。あと1週間ほどでこの場所からいなくなっても今年埋まれの子たちにはまだまだ試練が続きます。

投稿: 探険隊隊長 | 2008年8月 1日 (金) 16時23分

ぱわすてさん、こんにちは。
親子5羽は昨年、月光下に3羽が並んだのと同じ幹に並びました。まだ夜が明けきらない時間帯でシルエットでしたが写真は撮れていません。サンニッパに付けたテレコンを外している間に早朝のお参りに来た近所の人が賽銭を投げ入れ、鈴をガランガランと鳴らした瞬間に2羽が飛んでしまいました。

投稿: 探険隊隊長 | 2008年8月 1日 (金) 16時28分

図書新人59さん、こんにちは。お久しぶりです。
当人(雛)は私と御対面~んもどきどきだったかもしれませんが、足が絡んでもがいてもはずれなかった時が一番どきどきだったと思います。偶然神社の朝の清掃もなしの日だったので私たちがいなければ落鳥に誰も気づかないまま長時間経過することになったと思います。

投稿: 探険隊隊長 | 2008年8月 1日 (金) 16時36分

初めてお邪魔します。私も昨年足元に落ちてきた雛を救出し枝に留まらせた事があります。キョトンと私を見つめる雛の目が忘れられません。夜5時半ころの事で巣立ちに失敗し落ちてきました。ネコが居るので直ぐに拾い上げ枝に留まらせたのですが、親はやってこず離れて見守ったのですが動きなし。一旦帰って夜中に見にきたらそのままの姿勢でした。とうとう夜明けまで見守り6時過ぎ親が餌を与え、誘導して高いところに行く事が出来ました。その前日に巣立った子は落ちて自力で登ろうとして下枝に絡まって居たのでこれも救出しました。ネコばかりでなくカメラマンの目からも逸らす作戦でヒヤヒヤの一日でした。今年も一羽落ちて一日カメラマンの包囲網の中で過ごしパニクらないかと心配しましたが、夕方には無事飛ぶ事が出来ほっとしました。

投稿: anko | 2008年8月 4日 (月) 13時57分

ankoさん、こんにちは。
ankoさんとはお会いしたことはないと思いますが(もしかしたら干拓地あたりでニアミスしているかもしれませんが)、Yamadaさん等からお噂はお聞きし、時々ブログを拝見させていただくことがあります。今後とも宜しくです。
今回落ちた子はどのタイミングで家族と合流できたのか定かではないですが、落ちた日の夕刻から夜にかけて探索した際、親鳥が何度も鳴いていたのがとても印象的でした。午後7時以降に観察することもこれまでしばしばありましたが、親鳥が何度も鳴くのはこれまであまりなかったので、もしかしたらその夜に神社の境内から離れてしまった雛を呼び寄せていたのかもしれません。
救出に際しては一応人間の匂いが移らないようにとの配慮から手袋をしたのですが、どの程度の効果があったのかは定かではありません。近所の小学生の悪戯までには配慮がまわらなかったのが悔やまれますが、無事合流できたので本当によかったと思っています。

投稿: 探険隊隊長 | 2008年8月 4日 (月) 15時34分

隊長さん こんばんは
こちらこそよろしくお願いします。
拙いブログをご覧頂いてたなんて光栄でもありお恥ずかしい限りです。
救出の際の人間の匂いがつく心配は知己の専門家によると大丈夫だそうです。
手袋をするように薦められてるのは人間の方の怪我や感染を防ぐ為だと言うことです。
その際 軍手などの繊維のあるものは鳥の爪が引っかかるので、革製品が最適だと聞いております。

投稿: anko | 2008年8月 4日 (月) 23時44分

ankoさん、こんにちは。
そうですか。匂いはあまり気にする必要はないのですね。
手袋はバイク用のを借りたのでちょうどよかったかもしれません。

投稿: 探検隊隊長 | 2008年8月 5日 (火) 09時11分

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