随分以前に着手し、途中挫折となっていたサンヨーの古いコンパクトデジカメの直焦点化。とりあえずようやく形になるところまでこぎつけた。このカメラは1/1.8インチサイズのCCDを搭載した200万画素のデジタルカメラでスペック的には何をいまさらという感もあるが、知ってる人は知ってるとおり、デジ一眼顔負けの秒15コマ連写ができる爆速カメラだ。シャッタースピードも最高1/10000秒まで上げられる。
直焦点化とは聞きなれない言葉かもしれないが、要するにコンパクトデジカメにもともと付いているレンズユニットを全部取り外してCCDをむき出しの状態にし、天体望遠鏡や一眼レフ用レンズを直でつないでしまうというやり方だ。
MZ3は1/1.8インチサイズのCCDを搭載しているが、このCCDサイズは35ミリフィルムのサイズよりもずっと小さいので35ミリ換算での焦点距離は実際のレンズの実焦点距離のおよそ4.8倍となる。つまり、200mmの一眼用レンズをつないだ場合、35ミリ換算で約960mm相当となる。絞りとシャッターユニットが組み込まれたレンズユニットを取り外しているので、一眼レンズをつないだ場合の開放F値は一眼用のレンズのF値となる。つまり、サンニッパをつなげば35ミリ換算で1440mm/F2.8となってしまうわけだ。同様にゴーヨンをつなげば、35ミリ換算で2400mm/F4となる。残念ながらロクヨンは持っていないが、仮にロクヨンをつなげば35ミリ換算で2880mm/F4となる。
また、これも知ってる人は知ってることだが、このカメラはプリキャプチャー機能が搭載されていて、連写モードでシャッターを半押ししてる間、画像をプリキャプチャーする。シャッターを全押しすると全押し前の半押し状態の時にプリキャプチャーされていた画像も撮影される。つまりレリーズタイムラグが完全にゼロとなるわけだ(←この記述については正確性を欠く部分があるので訂正します。MZ3のプリキャプチャー機能はシャッターを全押ししてから実際に画像が取り込まれるまでのタイムラグを埋める機能しかないようです。半押し状態で画像取り込みの準備は始めますが実際の取り込みはシャッターを押した“瞬間”から。普通のカメラではシャッターを押した瞬間からは写らず、一定のライムラグを置いて写るが、MZ3ではこのタイムラグがゼロになるというに過ぎない。つまりシャッターを押した瞬間よりも過去のいわゆる“過去撮り”機能までは備えていない。この点でオリンパスのE100RSのプリキャプチャーとは明らかに異なる。)。
フィールドでの実写はこれからだが、ゴーヨンやサンニッパをつないだときにどんな写真がとれるか楽しみである。
SANYO MZ3改造直焦点機
レンズキャップをはずすとニコンFマウントが現れ、豊富なニコンレンズ郡がそのままつながる。
<改造の手順>
相当古いデジカメであるうえに、直焦点なんていう変な手法を試そうという人もあまりいないと思うが、一応改造の大まかな手順を紹介。
1.CCD取り外しまでの手順
下記サイトが参考になる。CCDを取り外すところまでは下記を参照。
http://www33.ocn.ne.jp/~j6611/mz3/MZ3_ccd.html
2.レンズユニットの取り外し
1の手順でCCD基盤の取り外しまでが完了したら、本体裏側からレンズユニットを固定しているネジを取り外す。CCDが付いていたところに銀色のネジ3本と黒いネジ4本があるので(本数は正確な記憶でない可能性あり)、それを取り外し、本体裏側から見て左側のパーツ全体をレンズユニットごと後ろに引いてごっそりとはずす。このとき、レンズユニットの中心内部へ伸びている幅3ミリほどのフレキシブルケーブルが突っ張ってはずしにくいが、レンズユニットに延びているフレキシブルケーブルは絞りやシャッターを駆動させるための信号を送るもので、直焦点化する場合は使わないのでフレキシブルケーブルを切ってしまっても構わない。
レンズユニット内のレンズにつながっているフレキシブルケーブルを切断してレンズユニットごとパーツの塊を後ろに引きながらやや斜めに引き出すとうまく外れる。レンズユニットの後ろ側のパーツの塊もフレキシブルケーブルで本体とつながっているが、こちらは切ってしまわないように慎重に。
レンズユニットとその後ろのパーツの塊がうまく抜ければ、レンズユニットだけポロリと外れる。
3.レンズの取り出し
レンズユニットは一番外側の灰色のプラスチック鏡筒(後ろの部分の周囲にギアが切ってある)とその中の3本の太さの異なる鏡筒から成っている。レンズユニットの後ろ側から見るとネジが一本とめられているので、そのネジをはずしたうえで中側の3本の鏡筒を全部抜き去り、一番外側の灰色のプラスチック鏡筒だけにする。
4.組み立て
レンズユニットの一番外側のプラスチック鏡筒だけを元の位置に戻してばらしたカメラを逆の手順で組み立てる。
5.起動テスト
組み立てたら、電池を入れ、起動テストを行う。システムエラーが表示されずに起動できればひとまずレンズユニットの除去は成功。
6.カメラレンズ用マウントの取り付け
一眼用のレンズを使う場合、使うレンズにあったマウントをカメラ本体に用意する必要がある。ニコンの場合は接写用のパーツであるBR3を調達するのが一番よい。BR3は後ろ側が52mmのメスねじになっているので、MZ3本体に52mmのネジが用意できればつながりそうだが、ステップアップリングを介してつなぐとフランジバックが長くなりすぎて無限遠が出なくなる。いろいろ試行錯誤した結果、最終的には次のような方法を用いた。
まずは、本体前面の化粧パネルのレンズが飛び出る周りについているリングを取り去る。このリングは裏側からネジ3本で取り付けられているのでネジをはずせば簡単に取れる。下記のページを参考にすればわかりやすい。
http://www33.ocn.ne.jp/~j6611/mz3/MZ3_adp.html
リングを取り外すと、前面パネルに開いた穴の直径がおおよそ37ミリになる。そこで、ここに37mm-55mmのステップアップリングを無理やりねじ込む。37mmのオスネジをそのまま全部残しておくとレンズユニットの一番外側の鏡筒とあたり、鏡筒を押し込んでシステムエラー発生の原因になるので、37mmのオスネジを少しだけ残すようにヤスリで削る。全部削ってしまってもいいのだが少しだけオスネジを残したほうが中心合わせがしやすくなる。
ネジを削ったらエポキシ樹脂系接着剤をステップアップリングの裏側につけ、前面パネルの穴に37mmオスネジ部分をねじ込んで固定する。エポキシ樹脂系接着剤が十分固まるまで待つ。
ステップアップリングがしっかりと固定できたら、ニコンのBR3をステップアップリングの55mm側にはめ込むようにしてエポキシ樹脂系接着剤で固定する。55mmとBR3の後ろの52mmのネジとは直接つながらないがBR3の外周がステップアップリングの55mm側の内周とほぼ一致するのでBR3の後ろをステップアップリングの55mm側の内側に差し込むような形にして(こうすることでステップアップリングの厚み分フランジバックが長くなるのを防ぐことができる)エポキシ樹脂系接着剤を用いてつなげば、ほぼ光軸がずれない状態で固定できる。以上で改造は完了。
7.AF用レンズ
レンズユニットのレンズのほかに、本体内にはAF用の凹レンズが組み込まれている。これはCCDの前についている。直焦点化した場合、AF用のレンズのレンズ枠によるケラレで若干周辺減光が発生すという話だったが、実際に今日実写してみたところ確かに周辺減光が発生した。対策としてAF用の凹レンズの代わりに凸レンズを入手して組みかえればよいそうなのだが、適当なレンズは入手できていない。
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凹レンズと凸レンズの記載が逆でした。もともと付いているAF用レンズが凸レンズで、これを凹レンズに交換すると減光が出なくなる、というのが正しい記載。
ゴーヨンをつなげばこんな感じ。
ゴーヨンでの実写。周辺減光部分をトリミングでカットしてある。
フィールドでの実写実験。180mm/F2.8使用。周辺減光が周囲に四角く出る。
かなりのトリミング画像。180mm/F2.8装着での手持ち撮影。
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