デジスコの合成F値
カメラのレンズの明るさは開放F値で示されるが、この開放F値というのは焦点距離と対物レンズの口径で決まってくる。
3倍程度のズームのコンパクトデジカメでは開放F値は最ワイド側でF2.8くらい、最テレ側でF4.9ぐらいだ。
しかし、コンパクトデジカメにフィールドスコープを組み合わせたデジスコシステムではカメラのスペックがそのままシステム全体のスペックにならないので複雑である。
デジスコシステムで明るさを考える場合、合成F値を理解しておく必要がある。レンズの開放F値は焦点距離を対物レンズの口径で割ればいい。例えば、200ミリの焦点距離のレンズで対物レンズの口径が100ミリあればF値はF2.0となり、かなり明るいレンズということになる。
デジスコの場合、スコープをつけて焦点距離を伸ばすのでデジタルカメラの焦点距離にスコープのアイピースの倍率をかけたものが実際の焦点距離(合成焦点距離)になる。ただし、デジカメ側の焦点距離は35ミリ換算したあとのものではなく換算前の実際の焦点距離を用いる。
ニコンのE4300の場合、最ワイド側の焦点距離は8ミリ、最テレ側の焦点距離は24ミリである。これに30倍のアイピースをつけたスコープをつなぐと、焦点距離は最ワイド側で240ミリ、最テレ側で720ミリとなる。
スコープの対物口径が60ミリの場合、合成F値は最ワイド側でF4となり、最テレ側ではF12となる。これはデジカメ単体の開放F値よりもずっと暗くなり、とくに最テレ側ではかなり暗くなることがわかる。
デジタルカメラ単体の最テレ側の開放F値がF4.9であったとしても、60ミリ口径の30倍スコープをつなぐと実際にはF12以上の明るさにはならないということである。
明るくするにはスコープの対物レンズ口径を大きくすればよいように思えるが、一般的にスコープの対物レンズ口径が大きくなれば倍率も大きくなる製品がほとんどなので、結果的にはF値は大きくなってしまい、明るくはならない。
倍率をあまり上げずに対物口径だけを大きくする方法として、一眼用の大口径レンズを使うという方法がある。例えばサンニッパ(300ミリ、F2.8のレンズをこう呼ぶ)の場合、対物レンズの口径は約107ミリもある。これに30倍のアイピースを無理やりつなぐと、実際の倍率は21倍くらいになり、比較的低倍率に抑えることができる。
これだと、デジカメをつないだ場合の最テレ側での合成F値は、合成焦点距離が24ミリ×21で504ミリとなり、これを対物口径の107ミリで割ったF4.7となる。
実際にはデジカメのF値がF4.9であることからこれ以上明るくなることはないが、デジスコシステムにすることによって暗くなるということも完全に避けられるのである。
てなことを考えていたら、サンニッパをオークションで衝動落札してしまいました、という落ちである。
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